• 二つに分割しないと、抜けない歯もあります

    二十代のこの若い女性の左下の智歯(親知らず)を見てください。このような形態の歯は抜歯する時に普通に使用するマイナスドライバーのようなヘーベルという外科器具で、いくら歯の周りに挿入して抜こうとしても、びくとも動きません。このような形態の歯牙はきれいに真ん中から分割することによって、比較的容易に抜くことができます。抜歯した後で、口腔内にあった状態に固定して写真をとってみました。三番目と四番目の画像がそうです。このような歯牙はしばしば歯科医師を困らせています。簡単には抜けませんから。

  • 鬼の仕業か、この歯の形態は

    最初のレントゲンを見てください。セカンドオピニオンを聞きたいということで、当院に来院されました。第一小臼歯の根が見事にS字状に曲がっています。この歯が咬むと痛いので、抜歯することになったそうです。しかし一般の歯科医院では、このような歯牙を抜くのは困難なので、大学病院で抜いてもらう予定なのですが、何か良い方法がありませんかということでした。確かにこの歯を抜いて下さいと言われても、きっと百人の歯科医師が百人とも敬遠するようなケースでしょう。このS字に曲がった根は感染してしまっているので、大変もろくなっていると考えられます。だからこの歯牙を折らずに抜き取ることは、至難の業と言えるでしょう。先端の部分を抜歯する時に、折って先端の部分を取り残してしまうと、それを取り出すことは大変な作業になってしまいます。しかし、この歯牙の動揺の状態から考慮してみると、ある程度歯の周囲の骨を上手に削り取ることにより、うまく抜くことができるという私の考えを話すと患者さんも納得して、大学病院で抜歯する予定の歯牙を当院にて抜歯することになりました。抜歯する際は、十分に麻酔した後、この歯の根の周囲の歯槽骨を特殊な長いダイヤモンドのバーで削り取りレントゲン写真で確認しながら、慎重に抜歯の手術を行いました。この歯牙は思った以上に感染が進んでいて、抜き取った歯牙は全体が真っ黒に変色していました。最初の写真がこの歯牙の全体の写真です、先端まで黒く変色しています。まさに鬼の仕業でした。

  • 下顎の大きな親知らずの抜歯の話

    下顎の大きな親知らずの抜き方を解説しましょう。大きな下の親知らずつまり智歯は、たいてい水平埋伏智歯と言って横向きに生えています。隣の第二大臼歯との間に隙間ができるため、様々な障害を引き起こします。炎症、う食(虫歯)、歯列不正などです。この親知らずが普通の大きさならば、分割することにより大概の歯科医院にて抜いてもらえます。しかし最初の写真のように異常に大きな智歯の場合は、歯の根の先端が下顎の神経の走行部分に掛かっていることが多いため、そのままの状態で抜歯を行うと、神経を傷つけてしまい唇や頬の部分に麻痺を起こしてしまいます。そこで、このような大きな智歯の抜歯では、まず歯の歯冠つまり頭の部分をカットしておきます。二番目の画像がカットした状態です。そのまま数ヶ月放置しておきます。この大きな智歯の場合は6ヵ月間放置していました。そうすると歯冠のない歯牙は次第に口腔内の方に移動してきます。三番目の画像を見てください。手前の方に三ミリから四ミリ移動しています。この位移動すると、下顎の神経から大分離れていますから、抜歯しても、神経を傷つけることはありません。ここまで移動したら安心して抜くことができます。四番目の画像が歯を抜いた時の写真です。隣の歯に見られた適合の悪かった金属冠はやり直していますから、適合がよくなりました。これが下顎の大きな智歯の抜歯のやり方です。

  • これが外歯婁です

    歯の根の周囲に起きた歯性化膿性炎のためにできた婁孔が顔面の皮膚の外にできるのが、外歯婁です。この婁という漢字は本当はもっと複雑で病ダレが付いているのですが、専門用語であるためうまく変換できません。申し訳ないです。最初の画像をご覧になってください。歯根の周囲にできた化膿性の炎症の膿がじくじくと顔面の皮膚から出てくる外歯婁は、戦前戦後はしばしば見られていましたが、現在ではほとんど見られなくなりました。九十の齢を過ぎたこの患者さんが、私の医院では初めての外歯婁の患者さんです。普段はとても元気な患者さんですが、顎の下に変わった腫れ物ができてしまいました。皮膚科に行ってみたら、これはどうも歯の方から来ているようだと言われたそうです。レントゲン撮影によって、右下の犬歯の歯根の周囲に嚢胞ができていました。二番目の画像を見てください。歯根の先端に膿の袋ができています。これが原因でした。この歯の根を取り除くことにより、外歯婁はきれいに治癒していきました。最後の画像がその写真です。

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