• 一期一影 【歯界時報 2007年1月 No.621】

    深い海の中で、おいしそうなエビがふわふわと目の前を通っていくのを見て、そのエビに細い糸と針が付いていてその糸が250メートル先の10メートルあまりの小さな釣り船に乗っている見知らぬ赤いセーターの男の釣竿まで続いていることを、いかに鯛が賢明であっても想像することはできなかったであろう。

    鯛の浮き流しの釣りでは、人の背丈程の長い大きな浮きを使用し、電動リールを使って、船べりから潮の流れに乗せてまき餌カゴ付きの仕掛けを、200メートルから300メートルも流して釣る。波が高い時は、200メートル先の浮きは波にかくれて見えたり見えなくなったりして、魚が食ったのかどうか判断しにくくなる。

    平成5年4月4日、長崎県野母崎沖で夜明けと共に釣り船から仕掛けを流し始める。早朝7時過ぎ260メートル程流したはるかに遠くに見えていた小さな小さな浮きの頭の赤と黄色の目印しが海面から全く見えなくなる。海中に沈んでしまったのだ。電動リールで巻上げを開始し、糸がピンと張ったところで竿を天上まで持ち上げて、大きく合わせを入れる。200メートルも先で魚に合わせを入れるには大きく竿を振り上げなくてはならない。それから猛スピードで糸を巻き上げる。あまりに重いせいか電動リールが悲鳴を上げ始めた。岩を引いているように重い。手で竿をしっかり持ち巻き上げること20分。海面に上がってきた鯛は長さ85センチ7.5キログラムの大物であった。写真は同行されていた元県歯会長の持山先生に撮影していただいたものである。

    家に持ち帰り家族で刺身にし、煮付けにし、骨蒸しにして食すること、一週間。全部食べるのにそれ位かかった。大きな目玉も食べましたが、大き過ぎたためか二、三日消化不良で苦しむことになってしまった。それでも海の幸のすばらしさに感謝の気持ちでいっぱいだった。

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